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自民党の質問・意見書等

丁寧・柔軟な観光新税の制度設計求める


道政上の諸課題について

(1)創生総合戦略について
1.国の地方創生政策
渡邊議員

民間有識者による報告書では道内117市町村が消滅可能性ありとされたほか、本道の合計特殊出生率が過去最低の1・06となった。国の地方創生政策や道が果たしてきた役割に物足りなさを感じる。今後どのように対応していく考えか伺う。

鈴木知事

人口減少問題は道政の最重要課題との認識の下、一層の危機感を持ち、課題を共有する北海道・東北知事会等とも連携して国に強く働きかけるとともに、市町村や道民、民間の方々とさまざまな課題を共有し、より実効性のある人口減少対策に取り組んでまいる。

2.次期創生総合戦略
渡邊議員

ドローンやロボット、生成AIをはじめ急速に進展するデジタル技術の活用により、一人当たりの生産性を大幅に向上させて持続可能な地域経済を実現し、医療・介護といった社会的機能を維持することも可能になると考える。創生総合戦略の見直しに当たり、人口減少時代にふさわしい戦略の検討が必要と考えるが知事の見解を伺う。

鈴木知事

道が設置した有識者等のワーキンググループが取りまとめた検証報告や国の動向等を踏まえ、地域の特性を活かした実効性ある戦略となるよう検討を進め、ドローンやAIなどの新技術を活用した生産性向上など、人口が減少する中でも、誰もが安心して住み続けられる地域社会の実現に向けた施策を展開していく。


(2)交通政策について
1.北海道新幹線の札幌延伸延期
渡邊議員

札幌延伸延期は2030年度末の完成・開業を困難とするもので、JR北海道の経営はもとより、札幌市をはじめ沿線自治体のまちづくりに甚大な影響を与える。鉄道・運輸機構の判断は大変遺憾。知事は建設促進に向けた新たな枠組みの設置を提案したとのことだが、今後どのように取り組む考えか。

鈴木知事

新たな枠組みとして、国や鉄道・運輸機構はもとより大きな影響を受ける駅立地自治体の首長や経済団体トップ、JR北海道社長などで構成する会議体を速やかに設置し、実務者会議も活用しながら、道民への適時適切な情報発信に努めてまいりたい。

2.JR北海道の中期経営計画
渡邊議員

JR北海道が発表した計画では、JR北単独では維持困難として地域との協議を求めている黄線区について、令和8年度末までに抜本的な改善案を取りまとめるとしており、道の役割は従来以上に大きくなる。道はJR北や沿線自治体の期待にどう応えていく考えか伺う。

鈴木知事

これまで以上にJRと沿線自治体との協議が円滑に進められるよう取り組み、道内鉄道ネットワークの重要性や役割を国などに訴え、JRや地域の関係者と一体となり、より一層効果的な利用促進策を展開するなど、本道鉄道網の維持・活性化に取り組む。

3.地域公共交通
渡邊議員

国は4月から自家用車や一般ドライバーを活用して乗客を運ぶ自家用車活用事業を地域限定で開始し、道内では札幌交通圏で実施される。同事業に前向きな市町村と連携し、住民などの移動手段の確保に積極的に取り組む必要がある。今後どのように対応する考えか。

鈴木知事

道では改めて市町村に導入への考え方や方向性を確認するとともに、北海道運輸局や道ハイヤー協会と連携し、全道8地域で地域別検討会議を開催するなど取り組みを進めている。引き続き多様な主体と連携を図り、地域の実情を踏まえた輸送サービスが確保されるよう国に働きかけ、さまざまな観点から検討を進めてまいる。

4.航空機燃料問題
渡邊議員

道内空港では航空機燃料の調達難が深刻化し、就航予定の国際路線やチャーター便の運航が中止される事態が発生。本道のインバウンド需要回復への深刻な影響を危惧する声があり、早急な対応が求められる。どう対応する考えなのか。

鈴木知事

道では6月7日、北海道観光振興機構とともに国に航空機燃料の安定供給体制構築を要望した。今後、国の議論を注視しながら、全国知事会と連携して国に働きかけるほか、空港業務を担う人材確保にも取り組む。


(3)観光振興について
渡邊議員

道が検討を進めている観光振興に関する新税について、市町村からは賛成意見の一方で、本道広域観光の課題や課題解決にかかる費用等について十分な議論が重ねられていないとの意見もある。地域説明会に参加した事業者の31%が導入に否定的な見解を示している。知事の基本的な考えを伺う。

鈴木知事

私としては、新税に関する基本的事項についてご理解が得られつつあると判断し、議論を一段前に進めるため、まずは「税の必要性」や「税率」といった基本的事項について方向性を整理した「新税の概要」の道案を今般お示しした。今定例会で議論を尽くしてまいる。


(4)エネルギー政策について
渡邊議員

道内で相次ぐ最先端の半導体製造拠点やデータセンター等の立地を北海道の発展に結び付けるには、新たに発生する電力需要に、道内で発電した再生可能エネルギー由来の電力を最大限活用して応えることが必要。道内外の送配電インフラや蓄電設備の早急な整備が何より重要で、こうした考えを国の次期エネルギー基本計画やGX推進戦略の見直しに反映させるよう強く働きかける必要がある。どのように対応する考えか。

鈴木知事

本道経済の活性化に向けて、再エネ供給拠点・活用拠点の双方の観点からGX産業の集積を進めることが重要。再エネ資源の地産地消を図り、道内でも最大限活用できるよう、全国的な視点に立つ費用負担のあり方等について国に要望するなど必要な対応を図っていく。


(5)GX金融・資産運用特区について
渡邊議員

道と札幌市が共同で進めてきたGX金融・資産運用特区の提案が国家戦略特区の対象地域に指定される見込みとなった(※6月26日付で指定済み)。今後は具体的な計画等の策定に向けて国と協議を重ね、道が独自に実施する税の優遇措置についても具体的な検討を進めることが求められる。今後どのように取り組んでいく考えか。

鈴木知事

札幌市と連携し、GX産業の集積、金融機能の強化集積に資する税目や対象事業など、先行他都市の事例などを参考に道税の優遇措置について検討している。今後、道議会議論や有識者の意見などを踏まえ、速やかに道の考え方を整理し、各般の取り組みを進める。


(6)人事政策について
渡邊議員

昨今、採用後数年で自己都合退職する道職員の割合が高まり、直近3カ月平均では採用者数に対する自己都合退職者数が約36%にのぼる。複雑化・高度化する道政課題に取り組むには優秀な人材の確保が必要。道は今年度中に人材育成や人事施策に関する基本方針を取りまとめるが、どのように対処していく考えか。

鈴木知事

今年度新たに策定する人材育成基本方針で、離職防止をはじめとする人材確保策を柱に位置づけ、高い専門性を有する人材の育成をより一層充実させるなど、道庁全体の組織力の底上げを図っていく。


(7)契約事務の一斉点検等について
1.契約事務の一斉点検(略)
2.物価高騰への対応
渡邊議員

指定管理者に関わる協定は原則5年間で、この間の物価や賃金水準の変動リスクは原則、指定管理者が負担する仕組みだが、昨今の諸物価高騰や賃金上昇は急激で、適正価格転嫁は国民経済的課題。実態に即した協定内容になるよう早急に見直す必要があるが見解を伺う。

鈴木知事

道として、これまで原則、期間中の変更はしないとしていた指定管理者の人件費や光熱水費等の経費について、今後は毎年度見直すこととし、具体的な仕組みについて検討する。


(8)赤れんが庁舎のリニューアルについて(略)

(9)ヒグマ対策について
渡邊議員

今年も道内各地でヒグマが出没し、予断を許さない状況が続いている。道としても国の動向を踏まえ、地域の対応力強化、新たな捕獲目標の設定やゾーニング管理の導入などを早急に行い、実効性あるヒグマ対策を推進する必要がある。今後どのように取り組む考えか。

鈴木知事

地域における捕獲従事者の育成・確保に向けた取り組みを一層推進するとともに、達成時期を明確にした捕獲目標の設定やゾーニング管理などのあり方を検討し、年内を目途にヒグマ管理計画の改定を行う。国の支援策を最大限活用しながら、引き続き緊張感を持ってヒグマ対策の一層の強化に取り組む。


(10)子供施策について
渡邊議員

道は5月、新たにこども基本条例の制定を検討すること、こども基本法に基づく都道府県こども計画として次期計画の策定を進める考えを示した。新条例にどのような内容を盛り込む考えか。こども計画策定に向けて、どのように進めるのか。

鈴木知事

新条例については、置かれた環境にかかわらず子供が子供らしく成長できる社会の実現のため検討を開始した。「北の大地・子ども未来づくり北海道計画」は、青少年健全育成や子供の貧困に関する計画を統合し、各計画の点検評価を行い、北海道こども施策審議会の意見などを反映させていく。


医師の働き方と地域医療体制維持の両立を


(11)医師確保と働き方改革について
渡邊議員

今年4月から本格化した医師の働き方改革により、本道では、診療体制の縮小を余儀なくされている医療機関もあるといい、地域医療体制の維持を不安視する声もある。地域医療体制に影響が生じないよう、どう対応していくのか。

鈴木知事

道では医師の時間外労働上限規制の施行後の状況について、6月中にも道内全ての病院を対象に調査を開始するとともに、道が設置した医療勤務環境改善支援センターによる継続的な支援など、医師の働き方改革と地域医療提供体制の確保の両立に取り組む。


(12)空き家対策について
渡邊議員

今年4月の国の発表では、全道の空き家は過去最多の約45万1千戸。ライフサイクルに応じた住み替えが円滑に進まず、住宅のミスマッチも見られる。道は空き家の活用や流通にどう取り組むのか伺う。

鈴木知事

道では今年度、所有者への相談対応やマッチングなど空き家の活用に取り組む「空家等管理活用支援法人」の市町村による指定が円滑に進むよう、情報提供や技術的助言などの支援を行い、空き家の活用や流通のさらなる促進を図る。


(13)本道農業の振興について
渡邊議員

「食料・農業・農村基本法」の改正案が今通常国会で可決・成立した。本道農業の振興に向けてこれを好機と捉え、本道農業の役割や実情が新たな「食料・農業・農村基本計画」に反映されるよう国に積極的に働きかけ、道民・国民の理解が醸成されるよう取り組む必要がある。知事の見解を伺う。

鈴木知事

将来を担う若手農業者をはじめ関係者の声を伺い、オール北海道で国に政策提案を行う。高校生など若い世代と連携し、本道農業の役割や生産者の思い、道産農畜産物の魅力を積極的に発信するなど、本道農業の持続的発展を図る。


(14)水産業の振興について
渡邊議員

海洋環境の変化により、本道の漁業生産は最盛期の3分の1まで落ち込んでいる。国はTAC管理を漁業生産回復の基本とするが、漁業者には資源の予期せぬ来遊があった場合の管理の難しさを心配する意見がある。道ではヒラメやマツカワなどの増養殖を進めているが、海洋環境の変化で計画的な種苗生産に支障が生じている。知事は漁業生産の回復にどう取り組んでいくのか。

鈴木知事

TAC管理制度において、予期せぬ来遊の際の漁獲枠追加配分の柔軟な運用が図られるよう、国に働きかけるとともに適切な管理を進める。効果的な栽培漁業の推進のため、疾病対策の徹底、健康な種苗の安定的な生産、技術開発など漁業生産の早期回復に向け積極的に取り組む。


(15)道産木材の供給力強化について
渡邊議員

愛媛県の大手製材会社が釧路市に大規模な木材加工施設の建設を検討するなど道産建築材への関心が高まっている。こうした動きを契機に道産建築材の供給力が強化される一方で、地域の製材工場の原木調達への影響も想定される。知事はどのように受け止め、道産建築材の供給力強化に取り組むのか。

鈴木知事

引き続きスマート林業の推進や担い手の育成確保に取り組み、原木の供給力を強化するとともに、製材工場への施設整備支援など品質の確かな道産建築材の生産体制づくりを進める。今後の木材需給への影響や課題について調査・分析を進め、地域の既存の製材工場に安定的に原木が供給されるよう取り組んでまいる。