さきの国会において、「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が全会一致で可決され、また政府は、この決議を受けて、アイヌ民族が先住民族であるとの認識を示す内閣官房長官談話を表明した。
国会決議において示された「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない」という認識を、私たちも共有しなければならない。
私たちは、政府が、国会決議にある「先住民族の権利に関する国際連合宣言における関連条項を参照しつつ、高いレベルで有識者の意見を聞きながら、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立」を速やかに実現することを期待する。
また、総合的な施策については、アイヌ文化の振興や保存・伝承、教育の充実、就業支援などの生活の向上の視点で、国の責務として拡充を図ることが求められるものであり、道においても、アイヌ施策の推進に主体的に取り組む必要がある。
よって、本議会は、アイヌの人たちの民族としての誇りを尊重し、社会的、経済的地位の向上を図るために、アイヌの人たちの意見を取り入れ、実効性のある施策が進められるよう、道民と一体となって取り組む決意を表明するものである。
以上、決議する。
北海道は、広大な面積に180の市町村から成る広域分散型社会を形成し、道民の移動や物資の輸送の大半を自動車交通に依存していることから、道路は道民生活や経済・社会活動を支える最も重要な社会基盤となっている。
また、冬期間における厳しい気象条件に加え、台風などの自然災害時に発生する交通障害や交通事故の多発、道路施設の計画的な補修・更新など、多くの解決すべき課題を抱えている。
以上のことから、道民にとって、高規格幹線道路から住民に最も密着した市町村道に至る道路網の計画的・体系的整備はぜひとも必要であり、特に、全国に比べて大きく立ちおくれている高規格幹線道路ネットワークの形成は、圏域間の交流・連携の強化、道民の命にかかわる救急搬送といった地域医療の充実などを図る上での最も重要な課題の一つである。
こうした中、政府においては、道路特定財源の来年度からの一般財源化を閣議決定したところであるが、国、地方を通じて極めて厳しい財政状況のもとで、いかに地方の道路整備に必要な財源が確保されていくのか、非常に危惧されるところである。
このような状況を踏まえ、次の事項について強く要請する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
文部科学省は今年度、へき地における教育水準の向上を図ることを目的とするへき地教育振興法に基づく、へき地等学校等の級別指定基準を改正することとし、現在、その検討が進められている。
現行の基準は、平成元年の一部改正以来、19年余りを経過したが、その間、全国を上回る速度で進む本道の人口減少や、若年層の都市部への流出に伴う過疎化と高齢化の進行は、へき地における教育に大きな影響を及ぼしている。
また、本道は、地域が広大で気候風土にも差があり、特に、離島などでは冬期間において依然として厳しい条件下に置かれているとともに、地域医療の衰退や物価高騰など生活環境は一層厳しさを増している。
文部科学省は、「道路・交通機関、情報通信網などの発展によるへき地の環境変化を踏まえた基準の見直しを検討する」としているが、本道では小・中・道立学校の約半数(2466校中1196校(48.5%))がへき地学校であり、教育条件の整備や教職員の人事施策上からも、見直しの影響は大きいものがある。
よって、国においては、へき地等学校等の級別指定基準の改正に当たって、気候風土などの地理的条件や物価、医療を初めとした生活実態を踏まえるとともに、都市との相対的な格差を反映した基準に改め、もってへき地における教育水準の向上に努められるよう要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
パート・派遣労働者などの非正規労働者は、現在、労働者全体の3分の1を超え、しかも不安定雇用と低賃金のため、生活保護基準以下の収入で暮らす、いわゆるワーキングプアなどが増大し、今や、貧困問題が深刻な社会問題となっている。
こうした中で、国民年金や国民健康保険の未納者の増大に示されるように、我が国の社会的セーフティーネットの中核をなすところの、社会保険制度から排除される貧困層が増大し、社会的セーフティーネットが重大な機能不全に陥っていると言わざるを得ない。
こうした状況を放置するならば、社会保障や税負担の担い手が減少するばかりか、将来的には、無年金者が増大し、巨額の生活保護費の追加負担が、発生することが懸念されている。
格差社会是正と勤労貧困層の解消に向け、すべての国民に仕事を通じた社会参加と所得保障を確立するため、積極的な雇用労働政策と社会保障政策の連携による社会的セーフティーネットの再構築が今、求められている。
よって、国においては、我が国社会の持続発展と社会的セーフティーネットの再構築による福祉社会の確立のため、次の事項の確立及び実施をするよう要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
地方分権の推進、少子・高齢化の進行、産業・雇用対策、地球規模や地域レベルでの環境保全需要、災害・事故に対する安全対策等、地域で求められる行政需要が増大し、地方自治体が果たす役割はますます重要になっている。
政府は「歳出・歳入一体改革」を徹底して進めることとしているが、自治体財政硬直化の大きな要因は景気対策による公共事業の増発に起因する公債費であり、国の義務づけ・関与が強い現行の行財政制度のもとで、国の財政責任が極めて重いものである。一方的な地方財政の圧縮は、国の財政赤字を地方に負担転嫁するものであり、また、医療、福祉、環境、ライフライン等の住民生活に直結する公共サービスの削減につながることになり容認できない。
地方財政計画の策定や交付税算定プロセスに地方の参画を認め、地方税の充実強化、地方交付税算定に地域の行政需要を適正に反映させ、自治体の安定的な財政運営に必要な財源を確保することが必要である。
よって、国においては、地方分権の理念を実現するため、より住民に身近なところで政策や税金の使途決定、住民の意印こ沿った自治体運営を行うことができるよう、地方財政の充実・強化を目指すために、次の事項が実現されるよう要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
現在、テレビ番組への字幕付与は、総務省(旧郵政省)の作成した指針や予算的な補助によって急速に普及し、字幕付与可能な番組のほぼ100%に字幕がついている。
一方、国内で上映される映画のうち「洋画」については、ほとんど日本語の字幕がついているが、「邦画」の場合は特別なものを除いて日本語字幕がついておらず、聴覚障害者は字幕のない日本映画を楽しむことができないのが現状である。
昨年、女優の菊地凛子さんがアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたことで注目された映画「バベル」は、約400人の聴覚障害者がエキストラとして参加し、日本の若者も多数出演していた。日本で公開される際、日本語場面だけ字幕がつけられていなかったため、聴覚障害者らが署名運動などで改善を要望し、その結果、配給会社は公開する全映画館で日本語場面にも字幕を入れて上映した。
聴覚障害者が映画を楽しむためには、せりふだけでなく電話の呼び出し音、動物の声、車の警笛など画面にあらわれない音声情報の文字視覚化も望まれている。日本映画への字幕付与は、ユニバーサル社会を目指す「情報バリアフリー」の一環として必要不可欠である。
よって、国においては、次の事項について早急に実施するよう強く要望する。
- 記 -
レアメタルを含む非鉄金属は我が国の産業競争力のかなめとも言われており、その安定確保は我が国の産業にとって重要な課題である。近年、国際価格の高騰や資源獲得競争の激化により、その確保に懸念が生じている。
貴重な鉱物資源をめぐるこのような状況を受け、資源エネルギー庁に設置された「資源戦略研究会」が平成18年に取りまとめた報告書「非鉄金属資源の安定供給確保に向けた戦略」では、使用済み製品に使われたレアメタルの再利用推進が重視されている。中でも普及台数が1億台を超えている携帯電話には、リチウム、希土類、インジウム、金、銀などが含まれており、これらを含んだ使用済みの携帯電話は他のレアメタルなどを含む使用済み製品とともに「都市鉱山」として、適切な処理と有用資源の回収が期待されている。
しかし、使用済み携帯電話の回収実績は2000年の約1362万台をピークに減少傾向が続いており、2006年には約662万台に半減している。回収率向上のための課題として、携帯電話ユーザーへのリサイクル方法の情報提供、携帯電話のリサイクル活動を行うMRN(モバイル・リサイクル・ネットワーク)の認知度向上、ACアダプター等の充電器を標準化することによる省資源化などが指摘されているところである。
よって、国においては、使用済みの携帯電話の適正な処理とレアメタル等の有用な資源の回収促進を図るため、次の事項について早急な対策を講ずるよう強く要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
最近の食料をめぐる国際情勢は、開発途上国の人口増加等により、食料需要が一層拡大するとともに、干ばっや地球温暖化の進行など不確実な要素に加え、バイオ燃料の需要増加によって世界の穀物需給に大きな影響を与え、穀物価格が高騰するなど、食料の安定的な供給に大きな懸念が生じている。
こうした中、我が国の食料自給率は、カロリーベースで39%にまで落ち込み、このままでは、平成27年度までに45%に引き上げるという目標の達成は大変厳しいものと見込まれている。
国は、食料・農業・農村基本計画の中で「食料自給率向上に向けて重点的に取り組むべき事項」を定め、これらの取り組みを推進することとしているが、国際的な食料需給の逼迫にかんがみ、早急に食料供給力の強化に向けて、実効性のある対策を打ち出すことが必要である。
よって、国においては、次の措置を講じられるよう強く要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
近年、ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事故など製品事故が多発し、製品の安全性が大きな問題となった。昨年には一連の食品偽装表示事件が発覚し、食品の表示に関する信頼が損なわれ、食品の安全性に対する社会的不安が広がった。取引分野においても年々巧妙化する悪質商法などによる消費者トラブルなど、多種多様な消費者被害が次々と発生している。
しかしながら、このような被害の中には、国の消費者行政の体制・対応に問題があると考えられる事例も数多く起こっている。
また、本道においても、消費生活相談体制について、地方自治体の厳しい財政事情などにより消費生活相談の体制や処理能力などに地域差が生じてきている。
このような状況にあって、消費者の安心・安全を確保するため、国が消費者行政を一元的に推進し、地方を含め、相談受け付けから助言・あっせん、紛争解決まで一貫して対応できる体制を整備することが求められている。
よって、国においては、国と地方が一体となった消費者行政の充実・強化を図るために、次の措置を溝ずることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
平成9年10月16日、「臓器の移植に関する法律」が施行され、唯一の治療方法が移植しかない患者に生きる希望と勇気が与えられた。
しかしながら、現行法では、脳死下での臓器移植は臓器提供者(ドナー)が意思を書面で表明し、その家族も同意した場合に限ってのみ可能とされており、ドナーとその家族の善意が生かされにくい状況にある。
また、書面での臓器提供の意思表示ができるのは15歳以上といった制限があるため、子どもからの臓器提供が実施されていないことから、子どもに移植手術を受けさせるため、多額の費用等をかけて海外渡航する人々が後を絶たない状況にある。
このように、我が国では、法律施行から既に10年が経過しているにもかかわらず、いまだ臓器移植は低迷しており、臓器移植を待ち望んでいる多くの患者は移植を受けられない現状である。
よって、国においては、臓器移植を必要とする患者が海外ではなく、国内において幅広く移植医療を受けられるとともに、ドナーやその家族の意思が尊重され、臓器移植の一層の推進が図られるように、現行の「臓器の移植に関する法律」の早期見直しを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
北海道においては、大規模で専業的な経営体により、クリーンで効率的な農業が展開される中、水田の大区画化や作業機械の大型化に対応する安定したかんがい用水や、新規作物の導入や収量・品質の向上を図るための畑地かんがい用水などは、本道農業を支える極めて重要な役割を果たしている。
このかんがい用水は、農業・農村整備事業により建設されたダムや基幹的用水路などの一連の農業水利施設によって、安定的に農地に供給されており、本道農業が、国際化に対応して、国民への食料供給の責務を将来とも果たしていくためには、これらの農業水利施設が将来にわたって確実に整備・維持・更新されることが不可欠である。
このような中、現在、国においては、第2期地方分権改革に向けて、農業・農村整備事業における、国と地方との役割分担の見直しと、それに伴う国の出先機関の縮小・廃止などを検討しているが、その内容は、将来にわたって、本道の農業生産力の維持増進や農村の振興にかかわる重要な事項である。
よって、国においては、農業・農村整備事業の国と地方の役割の見直しに当たって、次の事項について配慮されるよう要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
去る2008年6月7日~8日に青森県で開催されたG8エネルギー大臣会合及び5カ国エネルギー大臣会合において、「最近の石油価格の上昇は、138ドルを超えるものであり、石油市場の歴史上、最も急速かつ大幅なものである。現在の原油価格水準は異常であり、消費国・産油国双方の利益に反する」との声明が出されているなど、原油価格の高騰は異常な事態である。
この原因は、産油国の生産抑制や新興国における需要の急増、原油ノ市場への投機マネーの流入等によるものと考えられ、今後、この原油価格の高どまりは恒常化する方向にあるものと考えられる。
また、肥料についても、バイオエタノールの増産や開発途上国の人口増加による食料需要の増大に対応して各国が穀物の増産にシフトしていることから世界的に肥料需要が急増する一方、これに拍車をかけるように、尿素やリン安などの肥料原料産出国が輸出関税を課すなど事実上輸出を禁じる措置を講じているため、肥料価格も急激に高騰している。
さらに、トウモロコシの国際価格も、食料と同様、穀物需要の増大から高騰しており、これを原料とする配合飼料価格も高騰している。
このように、主要な農業生産資材の価格が高騰しており、今後もこの傾向は続くものと見られ、このままでは、本道の農業経営に与える影響は大きなものになると見込まれる。
今後とも、日本の食料供給地域として北海道がその役割を一層発揮するためには、燃油や肥料等農業生産資材の安定的な供給と価格の安定や、生産コスト低減に資する省エネルギー・環境保全型農業を推進することが重要である。
よって、国においては、次の事項について配慮されるよう要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中でグローバル化する森林の役割に対する要請が高まるなど、環境資源としての森林に対し強い期待が寄せられている。
一方、林業を取り巻く厳しい状況の中で、森林経営は脆弱化し、その担い手である山村は崩壊の危機に立っている。
このような中、森林整備を推進していくためには、森林所有者の森林経営意欲を創出するための施策の推進はもとより、森林・林業の担い手である山村の再生に向けた積極的な取り組みが極めて重要となっている。
このような時期に、国有林野事業は、いわゆる「行政改革推進法(平成18年6月)」に基づき業務・組織の見直しが予定されており、また、旧独立行政法人緑資源機構は「独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月)」に基づき平成19年度末で解散し、水源林造成事業等は独立行政法人森林総合研究所に継承させる措置が講ぜられたところである。
今後の林政の展開に当たっては、森林吸収源対策の推進はもとより、特に、国有林野事業等において、安全で安心できる国民の暮らしを守るために、重要な役割を果たす水源林等公益森林の整備、さらには、地域林業・木材産業の振興を通じた山村の活性化に十全に寄与できるよう、次の事項の実現について強く要請する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
世界的な原油価格の高騰により漁業用の燃油価格は急騰しており、A重油は平成16年に1キロリットル当たり4万2000円であったものが平成19年12月には8万2000円となり、現在は10万円を超えるなど、漁業経営に深刻な影響を与えている。
漁業者はこれまでの燃油高騰に対して平成19年に国が造成した水産業燃油高騰緊急対策基金などを活用し、省エネの取り組みによる経営改善に努めてきたが、昨今の燃油価格は漁業者の自助努力の限界を超えており、燃油コストの上昇を販売価格に転嫁できない中では、漁業の存続が危ぶまれる非常事態となっている。
国が目標として掲げている水産物の自給率の向上を図るためにも、地域の漁業の存続は重要であり、漁業の衰退は漁業のみならず水産加工業にも大きな影響を与え、国民に対する水産物の安定供給にも支障が生じることは必至である。
よって、国においては、漁業用の燃油の急騰に対し漁業の存続が図られるよう、次の事項について強く要望する。
- 記 -
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
義務教育の機会均等・水準確保及び無償性は、すべての国民に対し義務教育を保障するための、憲法の要請に基づく国の重要な責務であり、義務教育費国庫負担制度の堅持は、未来を担う人材育成という社会の基盤づくりに必要不可欠なものである。
全国のどの地域においても、すべての子どもたちに対して無償で一定水準の教育機会を保障するため、義務教育費国庫負担制度が設けられている。
しかしながら、義務教育費国庫負担金の改正により、一昨年度より義務教育の国庫負担率は’2分の1から3分の1に引き下げられたことにより、地方交付税等への地方の依存度が高まる中、地方教育財政への圧迫が懸念される状況にある。
とりわけ、広大な地域に小規模校が点在し、離島など多くのへき地を有する本道においては、教育財政の逼迫が、全国水準との格差や市町村間での格差など、本道の教育水準の低下をもたらしかねない状況にある。
よって、国においては、公教育に地域間格差が生ずることのないよう、義務教育費国庫負担制度、教科書の無償給与の堅持並びに学校施設費、就学援助費及び教材費等の充実など地方交付税等を含む義務教育予算を拡充することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により提出する。