国は国土強靱化基本計画を策定し、堤防や防波堤などの整備に重点的に取り組んできたが、台風19号では、結果として想定を超える浸水被害を防ぐことはできなかった。国においては国土強靱化に向けた緊急対策を拡充する方向で検討を本格化していると報じられているが、道はこのたびの災害を教訓として、防災インフラの整備にどのように取り組んでいく考えなのか。
今年度内に北海道強靱化計画の改定を行うとともに、「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」の継続・拡充を国に働きかけるなどして、必要な予算の確保に努め、道民の安全・安心を支えるインフラ整備を着実に推進していく。
今回の災害では大雨特別警報が解除され、避難先から帰宅後に洪水に見舞われるケースが続出した。気象庁や道、避難勧告を行う市町村がどのような関連性をもって情報発信しているのか、住民にはわかりづらい。流域全体の降雨量を基にしたソフト対策に重点を移していくとともに、住民が適切な避難行動をとれるよう情報伝達の方法や情報の関連性を周知する取り組みが不可欠と考えるが、どう取り組むのか。
市町村の防災対策の総点検、市町村長と直接面談する「地域防災ミーティング」を実施し、新水防法に基づくハザードマップの作成や周知、関係機関における河川タイムラインの共有を促すとともに、迅速かつ的確な情報の発信や伝達に向けた連携強化を図る。
人口減少を背景として、高齢者や子育て世代などが暮らしやすい生活環境を実現するとともに、行政サービスの持続可能性の面などからコンパクトシティについて議論され、各市町村で立地適正化計画づくりが進められてきたが、居住誘導区域の多くが国や道の指定した浸水想定区域と重なっている場合が少なくない。従来のコンパクトシティのあり方を見直す必要があると考えるが、見解を伺う。
国は立地適正化計画と防災対策を連携させ、安全な都市形成に向けた制度等の検討を進めていると承知している。道としては国の動向を注視するとともに、市や町と連携を図り、防災にも配慮したコンパクトなまちづくりの取り組みが進むよう努めていく。
一人当たり道民所得の対全国比は80%台半ばで推移しており、全国との格差は拡大している。若者が希望ややりがいを感じることのできる職場、能力に見合った報酬が見込まれる雇用機会を生み出し、関係人口の拡大を進めていくべきである。次期創生総合戦略の中でどのような点を重視し、人口減少対策に取り組んでいくのか。
重点的プロジェクトには豊かな地域づくり、未来の人づくりのほか、「しごと」づくりを大きな柱として掲げている。関係人口の創出・拡大、未来技術の活用を一体的に進めるとともに、雇用施策との連携を一層強化していく。
国は東京一極集中の是正に向け、2024年4月からの1年間に、東京圏に地方から転入する人口と転出する人口を均衡させる目標を設定する方向で検討している。次期総合戦略素案における「本道からの転出超過数に関する数値目標」を、どのように設定するのか。
現行の戦略では本道からの年間転出超過数を4千人に設定し、2018年はこれを下回る状況にある。2023年に転出と転入を均衡させるという目標の実現に向け、取り組んでいく。
道民が将来にわたって安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向け、道は平成21年に施行した地域振興条例による取り組み状況の点検に着手する旨、報告を行った。条例の施行後も、本道の人口減少問題は深刻さを増しており、より実効ある取り組みが求められている。次期創生総合戦略で示す基本方針や重点戦略プロジェクトの考え方は、道の地域振興条例と整合性が確保されている必要があるが、どのように進める考えなのか。
地域振興条例は、道民、市町村及び道が一体となって地域振興を進める上で共有すべき基本的な考え方、施策の進め方などを明らかにするため平成21年に制定し、5年ごとに検討を加えている。点検・見直しにあたっては、策定中の次期総合戦略の基本方針などとの整合性に留意をしながら、前回改正時からの社会経済情勢の変化や、条例に基づく地域振興施策の取組状況などについて点検を行い、道議会での議論はもとより、有識者や市町村など地域の声を伺いながら検討を進めていく。
知事は北海道総合教育大綱の見直しを行い、北海道の将来をけん引する人づくりに取り組む考えを示している。道内ではひとり親世帯の割合、児童生徒の就学援助率が全国を大きく上回っており、就職氷河期世代に再教育の機会を提供することも課題となっている。新たな大綱にどのような政策方針を盛り込むのか。
道民一人ひとりが生まれ育った地域や環境に左右されず、学び続けられる環境をつくりたいと考え、「夢や希望へのチャレンジを応援する北海道づくり」を基本理念に掲げた。道民の意見などを踏まえながら、大綱を策定していく。
道は11月、日米貿易協定により本道農畜産物の生産額が最大371億円減少するとの試算を発表した。牛乳・乳製品や牛肉、小麦など、本道の重要品目の生産減少額が大きく、国の減少額の3~4割を占める。国は「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂し、農業生産や農業所得の確保のための予算を措置する方針を明らかにしているが、本道農業の持続的な発展に向け、どのように取り組んでいくのか。
国の対策を活用しながら生産基盤の整備、担い手の育成・確保、スマート農業の推進や輸出の拡大など、生産力と競争力を強化し、農業・農村の振興に力を尽くす。
国は人口減少などの経済社会情勢の変化に対し、経済社会の活力の向上を図るため、外国人観光客誘致を国家戦略と位置づけ、2030年までに訪日外国人旅行者数を年間6000万人とする目標を掲げ、統合型リゾート(IR)の整備に向けた作業を加速している。本道においても、北海道の強みである食と観光の魅力を国内外に発信し、道外からの成長力を取り込むことが喫緊の課題となっており、来道外国人観光客500万人を目標に観光振興に努めている。仮にIRが本道で実現した場合、経済や社会にどのような影響やインパクトを与えると考えているのか、知事の認識を伺う。
これまでにないスケールとクオリティーの観光施設を民間の資金で整備・運営するものであり、国内外から多くの観光客を集め、道内を周遊することにより、交流人口や観光消費の増加、民間投資や域内需要の拡大など幅広い効果が期待される。ギャンブル依存症などの課題は、区域認定プロセスの中で対策を具体化し、着実な取り組みを行うことで、マイナス面の軽減が図られるものと認識している。IRは本道全体の経済社会に大きなインパクトをもたらし、持続的な発展に寄与するプロジェクトであると考えている。
道はこれまでIRに関する道民意向把握や観光関係団体からの要望聴取を行ってきたが、道民の間には、IRの経済的効果に期待する声がある一方で、自然環境や他の観光地に対するマイナスの影響、国が示した施設規模の要件を満たすことのできる需要の見通しや事業の継続性などを懸念する声があった。道が有力な候補地と位置付ける苫小牧市の議会が、10月にIR誘致促進に関する決議を行ったほか、11月には道内主要経済団体8団体が、誘致表明を早期に行うよう知事に要請した。知事は年内にIRの誘致に挑戦するかしないか、判断する考えを示しているが、道民の世論やIR区域整備計画の認定申請期限を2021年7月までとする国の基本方針などを踏まえ、IRの誘致に関して、どのような判断をするのか。
熟慮に熟慮を重ねた結果、誘致に挑戦させていただきたいとの思いに至った。しかし、豊かな自然に囲まれた候補地は、希少な動植物が生息する可能性が高く、限られた期間で環境への適切な配慮を行うことは不可能であると判断した。今回の申請は見送ることとするが、来たるべき時には挑戦できるよう、所要の準備をしっかり進めていく。
急増する外国人観光客の受け入れ体制の整備に役立てるため、知事は法定外目的税による安定財源確保が必要との考え方を示し、年内に方向性を取りまとめるとしている。市町村の入湯税との重税感を懸念する声があるなど、課題は少なくないが、どう取り組むのか。
仮称「観光振興税」の具体的なイメージを基に市町村などとの調整を進めるとともに、具体的な制度設計に向けて、観光関係者や学識経験者、市長会・町村会など幅広い方々から意見を伺う場を早急に設置する。
JR北海道に対する国の支援策の根拠法が来年度末で失効することから、国は2021年度以降の支援のあり方について検討を進めており、道では有識者による検討会を開催するなど、国への提言の検討を進めてきた。法改正を見据え、北海道が一丸となる必要があるが、どう取り組んでいくのか。
素案として示した「基本的な考え方」は、JRの徹底した経営努力を前提に、国の支援と地域の協力・支援が重要との考えのもと整理した。法改正に向けた機運を醸成しながら、オール北海道で取り組んでいく。
わが国の雇用状況は、外国人材の受け入れに向けた新在留資格制度を創設せざるを得ないなど、人材確保面で厳しい局面にあり、本道もその例外ではない。道は雇用創出条例に基づく次期基本計画の検討を進めているが、どのような点に重点を置いて策定するのか。
若者の道内就職の促進や女性や高齢者の労働参加、働き方改革の推進、投資促進や成長分野への展開、再就職支援などを柱に、働く方が経験や能力を発揮していけるよう検討を進めていく。
日本原子力研究開発機構は、幌延町で進める深地層研究計画について、来年度以降も研究を継続する案を道と幌延町に提示した。道は三者協定に基づき、会議を開催し、道は延長の必要性などに関する報告をまとめた。道民に対する説明会では、将来なし崩し的に放射性廃棄物の処分場となることを懸念する声も寄せられたと聞くが、どう対応していく考えなのか。
確認会議を開催し、計画延長の申し入れが三者協定に反するものはないことを確認した。最終処分場になるのではないかという不安の声を踏まえ、三者協定の遵守を確認することが必要と考えており、道議会での議論や地元の意向を踏まえ、対応を判断する。
国は再生可能エネルギー海域利用法に基づき、洋上風力発電の整備を促進するエリアを指定する制度を導入し、指定に向けた準備が進む11海域を公表したが、道内は含まれていない。道がリーダーシップを発揮して地元調整を促進するなど、受け入れ準備を加速する必要があると考えるが、見解を伺う。
洋上風力に関心がある自治体と勉強会を開催し、情報提供や課題の洗い出しを進めている。年内に国や自治体、漁業団体などが参画する「洋上風力推進連携会議」を開催し、区域指定されるよう取り組む。
知事は財政が非常に厳しいとの認識のもと、財務体質の改善を図る必要があると答弁した。6月に立ち上げたスマート道庁推進本部で、民間ノウハウの導入やICTの利活用による業務改革、テレワークなどの働き方改革などについて検討し、早期に実行していく必要があると考えるが見解を伺う。
令和2年度までを期間として業務改革の推進や財務体質の改善に取り組んでおり、進捗状況や成果を点検・評価した上で、行財政運営のあり方を検討していく。
マラソン・競歩の札幌開催は、北海道・札幌をアピールできる絶好の機会である。運営主体である組織委員会、東京都、札幌市、競技団体、関係機関との連携が欠かせないが、どう取り組んでいくのか。
関係者の緊密な連携のもと、道民の協力もいただきながら、組織委員会や国、東京都などとワンチームとなって、大会の成功に向けて全力で取り組んでいく。
健康増進法の一部改正や、道議会の「受動喫煙ゼロを目指す決議」を踏まえ、道は受動喫煙防止条例の制定に向けた取り組みを進めている。本道では東京五輪のサッカー予選、マラソン、競歩の開催が決まっており、しっかりとした対策を講じる必要がある。どのように実効性を確保していく考えなのか。
条例の理念や趣旨を道民に幅広く周知するとともに、来道者に北海道の魅力を感じていただけるよう、飲食店の禁煙表示をはじめとする受動喫煙防止対策にオール北海道で取り組んでいく。
道では「北海道花き振興計画」を策定し、花き産業の振興に取り組んでいるが、担い手不足や生産者の高齢化、ハウスの暖房用燃料価格の高騰などにより、花きの生産は減少傾向にある。若年層を中心に切り花の購入額が減少していることから、消費拡大の取り組みが求められているが、どう取り組んでいくのか。
高品質花きの安定生産体制、品質保持や低コスト輸送体制の構築、まちづくりにおける花きの活用や花育を推進している。さまざまな機会に道産花きをPRし、生産振興や消費拡大に取り組んでいく。
北海道栽培漁業振興公社のヒラメ種苗生産事業が魚価低迷などで大幅な赤字になり、事業所の統廃合も含めた今後の方向について検討を進めている。同事業で育った魚種は日本海地域の漁業生産額の1割以上を占めており、事業継続は欠かせない。日本海漁業の振興にどう取り組んでいくのか。
公社が設置した専門委員会に参画し、地元負担、地域の協力体制、経費の縮減などの対策を検討し、海域の特性に応じた栽培漁業を推進し、漁業者が安心して漁業を営めるよう取り組んでいく。
本大会は日本漁業の振興と発展を図ることを目的としており、サンマやイカなどの漁獲が大きく減少するなど、厳しい状況下に置かれている漁業関係者を元気づけ、魚の食文化の普及・拡大を図るためにも、意義深いものと考える。道内開催をどう考えているのか。
高鮮度で高品質な道産水産物を安定供給する本道水産業の役割を、全国に発信する場であり、令和4年の道内開催の実現に向け、私が先頭に立って取り組んでいく。
国民の森林に対する愛情を培うことを目的とした全国育樹祭の道内開催が、来年秋に迫っている。札幌で開催される東京五輪マラソン・競歩への対応も求められるが、全国育樹祭に向けた万全の準備を進める必要がある。どう取り組んでいくのか。
来月、沖縄県で開催される育樹祭において、次期開催地の知事として本道の魅力をスピーチし、木育イベントを通じて気運醸成に取り組むとともに、来年10月3、4日の開催に向けて実施本部を設置し、準備を加速させる。